幼なじみと付き合った場合。

「……いいなぁ、幼なじみって。お母さんもそうだけど、なんか特別な絆があるんだよね……あたしには、とうてい割りこめないよ」



それは、あたしと伊織とのことを言ってるのか、それともお父さんとお母さんとのことを言ってるのか……。



「…………」



あたしが言葉を失ってると、松本さんがフッと笑う。



「あたしね…お母さんが再婚しなきゃいいって思ってる…だけど、もう子供が産まれるみたいだから、籍を入れることになって……」



「そっか……」



まだ戸籍の上ではお父さんじゃなかったんだね。



「新しいお父さんのことは、小さい頃から知ってたの。すごくかわいがってくれたし、優しい人……だけど、あたしに媚びてる気がして、あたしは嫌い…」




「前は、変な目で見てくるって言ってたよね。あれは……?」




「あれは……同情をひくために、ウソついたの。最初はそれで伊織くんも協力してくれたし……越野さんも、伊織くんがウチに来るのを認めてくれたもんね」



「そうだったんだ……」