「それは…離れてみないとわからないよ。とにかく、今のままじゃ…伊織のこと、大切に思えないし。

伊織の必要性も感じない……」



うーわ、キッツ。



それを口に出して言うか?



マジで傷ついた……。



はぁ……結局、彩花にとっても俺はそーいう存在ってことなんだよな……。



束縛も、嫉妬も、彩花を想う気持ちも……



全部、なにもかも…コイツには通用しないってことか。



一気にやる気をなくした俺は、もうこのまま電話を切りたくなってきた。










「あたしね…ずっと迷ってて。このまま伊織と付き合っていいのかなって。

朝野くんのことも…ホントは気になってた……だから、伊織と別れて、ちゃんとその気持ちも整理したいの…」



「ふーん……」



もう、気持ちがほとんど朝野に傾いてるってことだろ?



もう諦めっていうか、これ以上頑張っても……無駄な気がしてきた。



フラフラして、優柔不断な彩花だけど、こうと決めたことに関しては、やたらと決意が固い。



そういう性格を知ってるだけに、無駄なあがきをしても無駄だって、心のどこかで諦めている俺がいた。