そんだってんなら話がはええ。
七衛門は言いたげにうなづくのだった。
この七衛門、妖かし斬り師の名を持っているくせに何かと妖かしの肩を持つことが多い。
いいや、彼の場合はどちらにも友好に接することができるのだろう。
そんな性質なのだ。
七衛門は知らないが、良い性格である。
それを知っている朧蓋翁だからこそ、彼は七衛門のもとを離れないでいるのだろう。
「そんでよ、危険はなさそうな奴なんでえ」
「なんだったら、刀はいらねえなあ」
方術だけで、十分だ。
七衛門はそう判断した。
本当にそうかと思っているのは、朧蓋翁だけである。
妖かしの力は、存外、無限である。


