黙っている時間は積もって、でも、決して重い沈黙ではなくて。
お互いに、無理に言葉を探そうとはしなかった。
久しぶりに、約一年ぶりに、まともに星治と並んで、わずか数分。
その数分だけが、こんなに大きい。
消えずに残っていた、他の誰とも共有できない居心地の良さに、よくわからないけど。自分でもよくわからないけど、鼻の奥がツンとした。
…なぁ、一年って、今この瞬間の何倍。
俺たちが一緒にいなかった時間。分で、秒で表したら、どれくらいの数字だろうか。
多分、計算したらわかるけど、面倒だから計算しないけど、でも、違う。
数字だけ表出したって、失くしたものは測れない。
同じ番組を見て。
同じバンドの曲を聞いて。
同じように笑って、怒って、話して。
同じだったテストの点。
似たり寄ったりの模試結果。
同じだった、好きなスポーツ。
ボールが見えなくなるまでしていた、キャッチボール。
その頃とは、変わってしまった。
あの頃のままには、戻れない。
…きっともう、聴いている音楽だって違うんだろう。



