淡い水色の中に、溶けてしまわずしっかりと形をとどめる、星のかたち。
まるで、間違って朝に出てきた星みたいだった。
それか、残った星。
…朝になっても、光をとどめた星。
思わず大きな音を立てて止まってしまったものの、どうすればいいかわからなかった。
話しかける準備なんて、全くしていなかったから。
俺が動かないから、宝田は、しばらく困り顔のまま、俺を見つめていた。
互いの間には、何人分かの隙間。
財布から、目線をずらす。視線が重なる。
目が合うと、宝田はまた驚いた顔になり、ふるふると、小さく首を振った。
白い首もとを、髪がさまよって。
なんか。……なんか。
やっぱり、綺麗だと思った。
大勢のクラスの中で、ふと視線に舞い込む彼女も。
こうやって、一対一で見たときの彼女も。
「──宝田っ」
じゃあ、と、遠慮がちにスカートをひるがえして、数歩進んだ細い足。
それを引き留めてしまったのは、自分の声だ。
心臓がギュッとなる。今しかないと、自分の身体のどこかが、叫んでいた。
「…乗っていく?」
不思議そうに俺を見つめる、宝田の目が、大きくなった。
黒目がちの瞳。それが開いたせいで、黒い球体として露出する。
いいよ、悪いから。そんな、予想していた遠慮の言葉は聞こえなかった。
「……いいの?」



