堂本さんが話を切り出すと、私はその低い声にびくっと肩を上げてしまった。
そんな私を見て突然堂本さんは笑い出した。


「ははは!!そんな怖がんな!」
「・・・・」


そんなこと言われても…


「まぁ無理か」


あ・・・心の声を読み取られた・・・・


「長い話はまた今度な。…由麻はレンが好きか?」
「えっ?」
「どっち?」
「…好き…ですけど」
「…そうか。わかった」


え?なにが?


「じゃ、とりあえずそういうことで」
「え?え?」


さっぱり意味がわからない。
そんな私を見てまた笑う堂本さんは名刺を差し出した。


「これ・・・」
「何かあったら―――…レンのことも聞きたいことあったら遠慮なく連絡して」


そういって慌ただしく堂本さんは去って行った。


「なんなの…」


私は一枚の名刺を手にしたままレンが出て玄関から出ていく堂本さんの背中を黙って見送った。