「・・・なんだよ?まだ懲りてねぇのかよ?」


マサキは口だけで由麻に力なく脅すと、由麻はマサキの真ん前でぴたりと止まった。


「うそよ。あなたは私になにもしてない」


静かな廃墟に由麻の凛とした声が響いた。


「っは…おめでたい女だな!気絶していてなにも覚えちゃいないだろ」
「確かに…気を失ってる間の記憶はない。でも、今なら言い切れる。あなたは…マサキはそこまでヒドイ人間じゃない」


俺は驚いて由麻の背中を見ていた。

本当に由麻にはこうしてたまに驚かされる。
普段から想像も出来ない粘り強さと芯の強さに。


「くくっ…同情か?そうだよなぁ。好きな男に似た環境の人間だったんだもんな」
「そうよ」
「!」
「そう言えば満足?」


由麻はマサキと比べてかなり小さい。

けど、今はそんなマサキを押してるように見える位由麻ペースだ。