「まさか…なんかあったんじゃ…」


堂本さんの問い掛けに一度足を止めた。


「車、出すぞ?」
「すみません―――ありがとうございます…!」


すっかり暗くなった病院の外に隠れるように出た俺と堂本さんは、珍しく運転手のいない黒い車に乗り込んだ。


「まずどこに行く?」


堂本さんがハンドルを握りながら聞くと俺は助手席のシートで少し考えて答えた。


「…マサキのとこへ…!」


その言葉だけで堂本さんは車を走らせ始める。
俺はそのスピード狂の堂本さんの運転ですら、もどかしく感じる程に嫌な予感がしていた。


おかしい…
由麻が約束を黙ってすっぽかす訳がない。

電話が繋がんないことだってそうだ。

一体何があった…?

ちくしょう、もっと早くに気付いてれば…!


―――由麻、どこにいる?