「あ、そうだ」 何か思い出したように彼はきょろきょろとし始めた。 「何か、落し物でも―――」 「いや、」 チリン.... 「ニャー」 小さな鈴の音色と共に私の足元にすり寄るようにしてきたのは綺麗なグレーの瞳をした猫。 「ああ、みつけた。探したよ、リン」 「え?」 「ニャア」 私の足元から彼を見上げて確かに“リン”と呼ばれた猫は返事をしてた。