「こら、勝手に触るな」 「お前はホント、甘え上手な」 「こっちにおいで――――いつも可愛いよ、リン」 それはどんな楽器で奏でられる音よりも綺麗で透明感のある音《こえ》 恥ずかしくなるほどに、愛を感じられる言葉。 一体どんな人なのだろう。 一度でいい。この声で、 私の名前を呼ばれたなら――― 目を瞑っては一人でそう妄想する。