術を出そうと黒炎を手に握るが、遥が咳をしながら止めた。

「こんな大事なときに、何言ってんだてめぇ! 俺だって死に物狂いで鷹龍手に入れて、お前のサポーターを勝ち取ったんだぞ! それを無駄にする権利、お前にはないんだ!」

 力強い目で叫ばれ、遥は小さなうめき声を出して立ち上がり、興奮している龍二の側まで歩く。

 ドスッ!

「ぅぐっ!」

 お返しといわんばかりに、龍二の腹を思いっきり殴りつけた。
 女にしてはかなりの力の強いパンチ。
 少し顔が歪んだが、腹を押さえて九の字に体を曲げている。

「そこまで言うんだから、お前の力はすげぇんだろうな?」

「おうよ。ビンビンに感じさせてやるぜ」

 二人は腹を押さえて不敵な笑顔をみせ、騰蛇達は、やれやれといったため息をつきながら二人を見つめた。




 本堂 遥 15歳

 性別 女


 総ては必然にて動く運命の針。

 二人に待ち受けるのは、生か死か?

 それとも…?