とにかく、試合は始まるのだ。


私は、周りの雑音をシャットアウトしたかったが、つい高橋君の事は考えてしまう。


そりゃ仕方ないでしょう…


女の子だもん。



「九州力が、ああいう発言をしたのはアントンを牽制する為でしょうが、アントンは分かんないから気を付けるに越したこと事はないです。」



ミスター金が、山尾にそう話している。



気を付けるって何を?



私には、その時の言葉の意味が分からなかったが、質問するより高橋君との妄想の世界が大事だった…



アントンのやり方をその時は全く予想すらしていなかった。


妄想も良いけど少しは頭も使おうと後で思うのだが…


その時は頭より身体よね?高橋君と思っていた。



山尾は、ミスター金の忠告を少し厳しい顔で聞いていた。


厳しい顔でもオッサンは、オッサンだけどね。