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「じゃ、俺新幹線の時間に間に合わないから行くわ」

演奏の余韻に浸る間もなく、尚さんは慌ただしくサンセットをあとにした。

「ツアー終わったらすぐ音に合わせだからな」

そう別れ際、サクに言い残して。


「あいつ張り切ってんのはいいけど、イーグルと両立するつもりなのか?」

足早に走り去る尚さんの背中を見て、鉄さんが呆れ顔をしている。

「はは。まあ尚なら上手くやれるよ」

なんて、サクは相変わらずのほほんとした返事。

鉄さんもそのあと店じまいをして今日はこれで解散することになった。


「亮、改めて言う。トワイライトに戻ってきてくれてありがとう」

鉄さんが頭を下げると、サクはニコリと笑った。


「こちらこそありがとう、鉄」

長い付き合いの中で、素直にお礼を言える関係は滅多にない。そんな仲間を持っていることが少し羨ましくも感じた。


「じゃあ、またな」

バイクにまたがる鉄さんを見送り、私とサクはすっかり日が暮れてしまった道を歩き始めた。