このヤタガラスとなら、徳川の狸も豊臣の木偶の坊も仕留められる。
なあ、そうだろ?
重初は肩に担いだヤタガラスの銃口を見上げた。
『ハヤク、ヤレ』
わかっているさ。
ヤタガラスに慣れるまで時間がかかった。
こいつに使い慣れるまでには相当な体力消費が激しかったが、今では嘘のように軽い。
きっとそのうちに実戦で使えるときがくるだろう。
そのときが、この腐れかかった一族を奮い立たせるときだ。
一族の目を覚まし、共にまた戦国最強の『雑賀衆』を復興させてみせる。
「必ず、この俺が……!」
左の拳をぎゅっと握り締めたとき、微かな気配を感じた。
秀実?
……いや、あやつは命令に従順なる男。決して俺には逆らうまい。
ゆえに、俺の後ろは付いて来ていないはず。
では、誰が…────
『シゲハツ…。オンナ、ダ』
「女?」
珍しく動揺するようなヤタガラスの声に耳を傾けていると、また草が鳴った。


