夏の月夜と狐のいろ。



「どうぞ、お疲れ、でしょう。お入りください。」


シアンたちを迎えたのは、修道女姿のアザリアだった。

アザリアはこちらに気がついていないらしく、それらしく振舞っている。


シアン達は一礼し、中へ入った。
アザリアは薄紫色の髪をひるがえして、奥へと進んでいく。


教会の中は色とりどりのステンドガラスによって輝いていて、
真ん中には大きな十字架のかたどられた石像があった。


あちこちから入る光に教会の中は不思議な雰囲気がかもしだされている。



石像の前に、シアン達は案内された。


リリィはさっそく祈りのポーズをとり、何やらつぶやいて目を閉じた。
シアンたちもそれにならう。

それを見慣れたようにアザリアが見守る。


しばらくしてお祈りが終わると、リリィは顔をあげてアザリアの目を見た。


アザリアの赤い瞳がきらりと輝く。


「他に、何か?」


あどけなく薄く笑みを浮かべるその様は若い修道女のものだ。


リリィはこくりと頷き、懇願するように声をひそめてアザリアの前に膝まづいた。




「どうか懺悔室へお通しください。どうしても懺悔したいことがあるのです」