夏の月夜と狐のいろ。



なんなく門を通り抜けて、しばらく離れたところでリリィはくるっと振り返った。


「やりましたね、シアン様、ナノ様!」


シアンは頷いてリリィの手をとった。

「すごいわリリィ!さすがだね!」

シアンが言うと、リリィは琥珀色の瞳を嬉しそうに輝かせた。

よほど満足なのかゆさゆさとヴェールの下でリリィのしっぽが揺れている。



シアンは再び前を向くと、街を見渡した。


あいかわらず町は不穏な雰囲気だが、修道女の姿はめずらしくないらしく、
人々はシアンたちに特に興味を示す事もない。


シアン達はなんなく教会までたどりつくことができた。



教会につくと、やはり門番が再び待ち受けていたけれど
さっきと同じようにすると通してもらえた。



・・・教会に支配された町は、変なところでゆるいようだ。



「失礼します。お祈りをさせていただきたく来たのですが」


通された先にある大きな扉をノックし、リリィが言う。

すると重々しい、豪勢にかざりつけられた扉が開いた。