夏の月夜と狐のいろ。



ナノは嬉しそうにしていた。


「レオンにたくさん、また仲間が出来て嬉しいです」


・・・また?
レオンにはたくさんの闇猫族という仲間がいるんじゃなかったの?


シアンは疑問に思ってナノを見たけれど、
ナノはそれだけいい、深くは語らずに目を閉じて何かを思い出すようにしている。


レオンたちには深い、何かがあるのだろうと思った。


目を閉じていたナノは、すぐにぱちっと瞳を開き、身じろぎした。



「レオンがこのまま町へいこうと言っています。シアンたちも、化けていただけますか?」



シアンは、こくりと頷いた。



「リリィは人間の姿に化けるだけで大丈夫だよね。私は・・・どう化けよう?」

シアンは唸りながら、悩んだ。


私たち狐が化けられるのは、よく見た事がある人物だ。


シアンが悩んでいるとリリィが思いついたようにしっぽを揺らして提案した。



『ツキ様に化けたらいいんじゃないですか?』



シアンは確かに、とリリィを見た。


「そうだね、さすがリリィ!いい提案だわ!じゃ、さっそく化けよう」


シアンが言うと、リリィはこくんと頷いてシアンの肩から飛び降りた。
わくわくするようにナノがこちらを見ている。



シアンは、目を閉じた。


ツキの姿を思い浮かべる。
長くて茶色い髪に、琥珀がかかったおおきな茶色の瞳。


次の瞬間、シアンはツキの姿に化けていた。


ナノが驚いたように、目を大きく見開いてこちらを見ていた。
けれどすぐに、横でぼわっと音がして小動物のようにすぐにそちらに目を移す。



横では、リリィが化けている最中だった。



リリィはめったに人間の姿にならないが、狐はそれぞれいざというときのために
人間の姿をひとつ、自分のものとして持っている。



リリィの人間姿は、久しぶりだ。