夏の月夜と狐のいろ。



「えっと、今ナノちゃんは起きているの?」

シアンが結局、そう訊ねるとレオンは頷いた。


「ああ。起きているよ。今もこの話を中で聞いている。会うか?」


レオンがそう言ったので、シアンはこくりと頷いた。
レオンは了承するように頷き、目をつむった。


ごくり、と息をのむ。


すると、ふわりとレオンの身体が淡く輝き、茶色い髪が長くのび、体つきも顔も少女のものへと変わって言った。

齢は、シアンと同じくらいだろうか。
けれどひどく華奢で、弱々しい。



光がやむと、少女がふわりと目を開いた。


色素のうすい、長いまつげにふちどられた瞳は琥珀色ではなく、エメラルドのような、緑色だ。


少女は、にっこりと微笑んだ。


「はじめまして。私が、ナノです。」


ナノのふわりとした微笑みは優しいものだ。


シアンが見とれていると、ナノが不思議そうに首をかしげた。



「あのう・・・・私、何か変な事を?」


不安げに、緑色の瞳がゆれる。


シアンはあわてて首をふり、微笑み返した。


「ごめん、少しぼぅっとしてただけ!ごめんね、もう知ってると思うけど私がシアン。
この子はリリィ。私の家族みたいなものよ。」



シアンがそういうとリリィはぴこっとしっぽをたてて挨拶した。



ナノは、ほっとしたように頷く。


「はい。レオンの中からいつも聞いています。」


ナノは獣のものである、白い耳を揺らした。
頭にちょこんと鎮座する耳の色からして、猫の姿も違うらしい。



ナノの耳はレオンの薄茶色の縞模様とはちがい、白いふわふわとしたものだ。


腰より長く伸びた髪もよわくカールしていてふわふわしていて、
そこからのぞくしっぽもふんわりとしている。



きっと毛足の長い、美しい猫なのだろう。