夏の月夜と狐のいろ。



シアンたちが不思議そうにしていると、レオンは慈しむように胸に手をそえた。


「お前たちになら、話してもいいだろう。」


レオンは顔をあげ、こちらを見て少し微笑んだ。

その顔はひどく優しくて、琥珀色の瞳は少し悲しげだ。


レオンは、ゆっくりと口を開いた。


「その言葉の意味どおり、私の中にはもう一人人格がいる。
厳密には、二重人格とは少し違うのだが、そう言うのがいいだろう。


中に、ナノという少女がいる。
ナノは私の中に生まれた、けれど個人の人格をもつ少女だ。


私が起きているときには私の中で眠るか話を聞くか、おとなしくしている。
彼女が出てくるとき私は中にひそむ。

身体の主導権は私にあって、彼女は外に出ると体力を消耗するので
めったに外にはでない。」




レオンは一度言葉を切り、琥珀色の瞳をゆらした。



「彼女が外に出れば、私の外見は彼女のものになる。つまり外見をごまかす事ができる。」




シアンは驚いてレオンを見つめた。


どれも嘘ではない事が、わかる。


レオンは胸のあたりを撫で、愛おしそうにしている。



-レオンはナノという少女を相当大事に思っているらしい。
その目には今までに見た事がないくらいに優しいいろが浮かんでいた。



けれどやはり、どこか悲しげだ。


過去になにかあったの・・・?
シアンは疑問に思ったが、深い悲しみを奥にたたえた瞳をみると、なにもきくことができなかった。