夏の月夜と狐のいろ。



”クロ”という名前を口にした瞬間、ぶわっとレオンのしっぽが逆立った。

目には怒りの色がこく浮かんでいる。


「あいつは許せない。私たちのことをいったい何だと思っているんだ?
次にあったら私があいつの喉笛を食いちぎってやりたいくらいだ。」



レオンは怒りに満ちた声で言う。

シアンはぞっとしてレオンを見つめた。

-もう仲間同士で争うのも嫌だ。


「だめだよ、レオン・・・。お願い、許してあげて。

クロは人間にクローンに改造されて、双子の弟まで奪われたの。だからひどく、人間を憎んでるから・・・」


シアンが言うと、レオンはゆっくりとこちらを向き、複雑そうな顔をした。

困ったような、でもまだ怒りの余韻を残したような瞳がゆれる。



けれど、すぐにレオンは耳をぴくっと動かすと目線をそらしてため息をついた。



「うむ。悪かったな」



レオンはしっぽの逆立った毛を寝かせ、その場に座った。



シアンはほっとしてため息をつく。


いつの間にか膝の上に移動したリリィが息をあわせるようにため息をついてから、こちらを見た。



リリィの瞳は、不安げに揺れる。


『これからどうしますか?』