夏の月夜と狐のいろ。



リリィは目を細めてするりとシアンの肩に乗って、しっぽでシアンの頬を撫でた。


『はい。もちろんです。死ぬまで私はシアン様の傍にいると誓います。』

シアンは、こくりと頷いた。




しばらくすると、近くの茂みががさがさと揺れた。
一瞬警戒したが、足音からレオンのものだとわかり、警戒を解いた。


くさむらを見つめているとにゅっとレオンの薄茶色の猫の頭がのぞいた。

そして、琥珀色の目がこちらを見つめる。


『大丈夫か、シアン?ひどくうなされていたようだが・・・』


レオンはするりと人間の姿にもどり、傍にしゃがみ込んでこっちを心配そうに見つめた。



シアンの胸には再びノエルと別れた悲しみが、影を落とす。


シアンが俯くと、レオンが申し訳なさそうに尻尾を揺らした。


ぱた、と力なく薄茶色の縞模様のしっぽが力なく地面をたたいて、それからゆらゆら揺れた。



「すまなかったな・・・私が気がついていればガスなど吸わずにすんだかもしれないというのに」


シアンは顔をあげて、首をふった。



「悪いのはレオンじゃないわ。誰だってあんなの気がつかないよ。クロのこと信用してた・・・んだし・・・・」



シアンの語尾は小さくなっていった。

クロが、ノエルが、今はここにいない。