夏の月夜と狐のいろ。


それに気がついたかのように、クロがちらりとこちらを見る。


そしてクロは、ナイフを持ったままゆっくりとこちらに向かって歩いて来た。


・・・まさか私達を殺す気なの?
シアンはぞっとしてクロの顔を見た。

だが、クロはナイフを懐にしまい、代わりに小さな小瓶を取り出してそれをゆらゆらと振った。


「・・・これは解毒剤だ。これを飲まなければお前らの体は動かなくなる。
そう、お前たちの判断次第だ」


クロはそこの見えない暗い瞳で言う。


シアンが見上げ続けるとクロは小瓶を揺らすのをやめ、続けた。


「ノエルをこちらに差出すなら、この解毒剤をやろう。そしてここから逃がしてやる。
だがノエルを助けるというなら、解毒剤もやらないしお前達は捕まえる」



さっきよりも、危機迫られた内容だ。


・・・私はノエルを見捨てられない。
でも私がノエルを助けると答えれば、レオンたちも巻き込まれてしまう。


シアンは、ちらっとレオンとリリィを見た。


すると視線に気がついた二人は、苦しげな表情を笑みに変え、言う。



『別に私はかまわない。仲間を助けろ、シアン!』


『私もです!!ノエル様を助けましょうシアン様!!』



シアンは、微笑みを返した。


そして。


「私はノエルを助けるわ、クロ!」