夏の月夜と狐のいろ。



シアンが押し黙っていると、状況を冷静に把握していたらしいレオンが前に出た。



「お前たちは悪魔憑きの私達を捕まえたいと言ったな。
なぜあいつは捕まえない?あいつも充分に異端に私の目には映るが?」


すると神父はとんでもない、というように驚いた顔をした。


「何を言うのかね!あの方はラシッド様より正式に使わされた方!
もはや異端ではありません、神の使いというべきでしょう」


レオンは嫌そうに琥珀色の瞳を歪めて、そしてシアンのほうを向き直った。

そして鋭く耳打ちする。



「私がこいつを金縛りにあわせる。その間にノエルを助けるのがいいだろう。」



シアンが返事をする間もなくレオンは再び口を開いた。



「ほう。まったく基準がわからんな。ではよく見るがいい。
私が本当に異端かどうかをな」


レオンは挑戦的にそう言うと次の瞬間猫の姿にもどった。



神父が、驚いてレオンを見つめる。


するとすばやくレオンは神父に目線をあわせ、ぱちりと瞬きをした。


その瞬間琥珀色の瞳が怪しく光り、その目を見た神父は石像のように動かなくなった。


シアンはそれをみてすぐに走り出し、走りながら本来の姿にもどった。


ざわざわと風がぬけるような音ともにシアンの身体は人間のものから銀色のおおきな獣のものにかわり、ローブに普段は隠している尻尾が思い思いにゆれる。




そして、シアンはアザリアの龍の身体にとびついた。