「おのれぇ、あの時お前を殺しておくべきであった」
ぎゅっと扇子が握り締められる。
あたしはヒューヒューと細い息をして、痙攣していた。
体が固まってしまって全然動かない。
まるで麻痺しているようだ。
まぶたすら動かない。
開ききった両目で、奥方がよろよろと目の前に立つのを見ていた。
ゼエゼエと息を切らし、赤く血走った目であたしを凝視している。
両手がふわりと動き、奥方の頭上に扇子が掲げられる。
「わらわが、天内最後の末裔に天誅を下そうぞ」
頭の中が真っ白で、体も動かなくて・・・。
何ひとつ考えられない。動けない。
あの扇子があたしに狙いを定めているというのに。
動け、ない・・・。
「ここで途絶えよ! 天内の血脈よ!」
ズンッ・・・!
叫んだ奥方がそのままの姿勢で硬直した。
驚愕の表情。
ばらりと長い黒髪がほどけ、腰まで覆う。
そして弛緩したようにカクンと両膝を畳につけ、ぱたりと横に倒れる。
奥方の首筋から背中にかけて、袈裟懸けに深い刀傷が。
血がじわじわとあふれ出すのが見えた。
「門・・・」
その向こうに、彼の姿。
赤く血塗れた刀を畳に突き刺し、それにすがり付くように体を支えている姿が。
見えた。
ぎゅっと扇子が握り締められる。
あたしはヒューヒューと細い息をして、痙攣していた。
体が固まってしまって全然動かない。
まるで麻痺しているようだ。
まぶたすら動かない。
開ききった両目で、奥方がよろよろと目の前に立つのを見ていた。
ゼエゼエと息を切らし、赤く血走った目であたしを凝視している。
両手がふわりと動き、奥方の頭上に扇子が掲げられる。
「わらわが、天内最後の末裔に天誅を下そうぞ」
頭の中が真っ白で、体も動かなくて・・・。
何ひとつ考えられない。動けない。
あの扇子があたしに狙いを定めているというのに。
動け、ない・・・。
「ここで途絶えよ! 天内の血脈よ!」
ズンッ・・・!
叫んだ奥方がそのままの姿勢で硬直した。
驚愕の表情。
ばらりと長い黒髪がほどけ、腰まで覆う。
そして弛緩したようにカクンと両膝を畳につけ、ぱたりと横に倒れる。
奥方の首筋から背中にかけて、袈裟懸けに深い刀傷が。
血がじわじわとあふれ出すのが見えた。
「門・・・」
その向こうに、彼の姿。
赤く血塗れた刀を畳に突き刺し、それにすがり付くように体を支えている姿が。
見えた。


