神様修行はじめます! 其の二

「我は、ここから先へは行けぬ」

「絹糸・・・」

「老骨に鞭打たねばならぬようじゃのぉ」


ブワァッと絹糸の全身が震え、変化した。

青白い宝石のような毛並みが、眩しいばかりに輝く。

限りなく純度の高い金色の目が、鋭く獣を見据えた。


お互い一歩も引かない姿勢で、にらみ合う。


「皆、先に行け」

「なに言ってんのよ! あたし達も一緒に戦うよ!」

「そんな時間がどこにあるのじゃ」

「絹糸っ!」


だってコイツ絶対ヤバイよっ!!

絹糸だけじゃ危険すぎる! ひとりで置いてはいけないよっ!!

そんなの置き去りにするようなもんじゃんか!


「誰がなんと言おうと、一緒に・・・」

「絹糸様、ここは頼みます」

「セバスチャンさんっ!?」


あたしは驚いて叫んだ。

セバスチャンさん、まさか絹糸ひとりを置き去りにして見捨てるつもり!?

そんなのウソだよね!?


「多勢に無勢である事に変わりはありません。急がなければならないのです」

「そんな事言っても・・・!」

「時間が経つごとに、我々の敗北が確実になっていくのです」

「だって・・・!」

「負けたくなければ、今すぐ先へ進むしかありません」