神様修行はじめます! 其の二

空気を凝縮するような鋭い音が頭上に響いた。

耳の奥が痛くなる。


黒い大群の弓矢の動きが、空中でピタリと止まった。

まるでストップモーションみたいだ。

見上げるあたしの目の前で、みるみると氷に包まれる。


大量の弓矢一本一本全てが、瞬間的に氷結された。


パーンと弾ける大きな音がして、氷漬けにされた弓矢たちが空中で粉砕する。


黒い霧となってゆっくりと落ち、宙でそのまま霧散した。


す・・・

すご・・・・・。


まったくの無表情で立っている門川君を、あたしはポカンと見た。


あれほどの量の弓矢を全部、瞬く間に・・・。

しかも、ほんの一瞬で力を発動させるなんて。

こんな大技だったら、普通、発動するまでの時間がかかるはずなのに。


あたしが同じ事しようとしたら、一時間はかかるかも!


「永久様! 素晴らしいですわ!」

「さすがは永世様の孫だべっ!」

お岩さんと当主さんが、大喜びで騒いでいる。


その姿を横目で見ながら、あたしは門川君に叫んだ。

「なんでこんな事が可能なわけぇっ!!?」


もう、もう、ほんと人間とは思えない!

自分がちょっとばかり力があるから、良く分かる!

神の末裔っていうよりも・・・


「んもう、門川君って化け物の末裔なんじゃないのっ!!?」