何だかすごくストレスを感じて、気が重い。

外の空気が吸いたい気分。


「しま子」

「うあ?」

「一緒に夜の散歩でもしよっか」

「うあぁ~」

一つ目が、あたしを見てニコリと笑った。


障子を開けて廊下に出ると、ちょうど門川君と出くわした。

あ・・・、なんか気まずいなぁ。


お兄さんの事とか、これからの対策とか。

さっきの、あたし達の会話とか。


彼を見ても、今は答えのない出来事ばかりが頭に浮かんできて。

気安く話の出来ない気分だよ・・・。


ところが、そんなあたしの気分にまったくお構いなしに、彼は話しかけてきた。


「天内君、絹糸を見なかったか?」

「絹糸? ううん、見てないよ?」

「戻ってからずっと姿が見えないんだ」

そう言って、気遣わしげにあちこちキョロキョロする。


そういえば絹糸、なんか様子が変だったな。

こんな風に皆が落ち込んでる時、いつもなら軽口のひとつも言うのに。

押し黙ってひと言も話さなかった。