ハシゴを上り、地上に出た。
庭木や草花がうっそうと周囲を覆い、目隠しになっている。
そっと辺りの様子を伺った。
外はもう夜で、すっかり闇に染まっていた。
人影はない。
草木に紛れて進めば、きっと誰にも気付かれない。
「小娘、この先、滅火の力は使うなよ」
「えっ?」
「この敷地内で力を発動すれば、瞬時に感知されてしまう」
「そ、そうなのっ?」
「取り囲まれて一網打尽じゃ。よいな? 決して使うでないぞ?」
絹糸が、しつこいくらい何度も念を押した。
「決して決して使うでないぞ?」
分かったってば!
でも、そういう事は早く言ってよ! 出発する前に!
力が使えないなんて想定外だよ。
どうしよう。こんな事なら武器を調達してきたのに。
武器ったって、権田原には鍬とか鎌とかしか無いけど。
なんだか、たちまち心細くなってきた。
気持ちを奮い立たせて、先を歩く絹糸に着いて行く。
ここから先は、奥方の住む別棟の敷地だ。
引き締めて行かないと。
庭木や草花がうっそうと周囲を覆い、目隠しになっている。
そっと辺りの様子を伺った。
外はもう夜で、すっかり闇に染まっていた。
人影はない。
草木に紛れて進めば、きっと誰にも気付かれない。
「小娘、この先、滅火の力は使うなよ」
「えっ?」
「この敷地内で力を発動すれば、瞬時に感知されてしまう」
「そ、そうなのっ?」
「取り囲まれて一網打尽じゃ。よいな? 決して使うでないぞ?」
絹糸が、しつこいくらい何度も念を押した。
「決して決して使うでないぞ?」
分かったってば!
でも、そういう事は早く言ってよ! 出発する前に!
力が使えないなんて想定外だよ。
どうしよう。こんな事なら武器を調達してきたのに。
武器ったって、権田原には鍬とか鎌とかしか無いけど。
なんだか、たちまち心細くなってきた。
気持ちを奮い立たせて、先を歩く絹糸に着いて行く。
ここから先は、奥方の住む別棟の敷地だ。
引き締めて行かないと。


