神様修行はじめます! 其の二

「これだけの抜け道を作るなんて、大変だったろうねぇ」


「土の民の力を使えば、お前が想像するほどの労力ではなかろうよ」


「すごいなー、権田原一族って」


「それに気付かぬ門川の者は、愚か者揃いよ」


あたしは、つとめて明るく会話していた。

普通に、明るく。


そうしてないと、自分の気持ちに飲み込まれて負けてしまいそうだったから。


門川君は、さっきからひと言も話さない。


あたしを避けているのもあるんだろうけど・・・。


一番の原因は、お兄さんの事だと思う。


期待と不安が入り混じって、心の中で葛藤しているんだろうな。


いざとなったら、実の兄を手にかけなければならないって。


大丈夫よ、門川君。

その役目は、あたしが果たすからね・・・。



「どうやら、ようやく着いたようじゃぞ」


ずっっと歩き続けた先に、ついに行き止まりが見えた。

上から縄ハシゴが下がっている。


着いた。ついに着いた。

着いてしまった。


縄ハシゴを見た途端、心臓があわただしく鳴り始めた。


この先に、どんな出来事が待っているんだろう。

あたし達は何を得て何を失うんだろう。