「これだけの抜け道を作るなんて、大変だったろうねぇ」
「土の民の力を使えば、お前が想像するほどの労力ではなかろうよ」
「すごいなー、権田原一族って」
「それに気付かぬ門川の者は、愚か者揃いよ」
あたしは、つとめて明るく会話していた。
普通に、明るく。
そうしてないと、自分の気持ちに飲み込まれて負けてしまいそうだったから。
門川君は、さっきからひと言も話さない。
あたしを避けているのもあるんだろうけど・・・。
一番の原因は、お兄さんの事だと思う。
期待と不安が入り混じって、心の中で葛藤しているんだろうな。
いざとなったら、実の兄を手にかけなければならないって。
大丈夫よ、門川君。
その役目は、あたしが果たすからね・・・。
「どうやら、ようやく着いたようじゃぞ」
ずっっと歩き続けた先に、ついに行き止まりが見えた。
上から縄ハシゴが下がっている。
着いた。ついに着いた。
着いてしまった。
縄ハシゴを見た途端、心臓があわただしく鳴り始めた。
この先に、どんな出来事が待っているんだろう。
あたし達は何を得て何を失うんだろう。
「土の民の力を使えば、お前が想像するほどの労力ではなかろうよ」
「すごいなー、権田原一族って」
「それに気付かぬ門川の者は、愚か者揃いよ」
あたしは、つとめて明るく会話していた。
普通に、明るく。
そうしてないと、自分の気持ちに飲み込まれて負けてしまいそうだったから。
門川君は、さっきからひと言も話さない。
あたしを避けているのもあるんだろうけど・・・。
一番の原因は、お兄さんの事だと思う。
期待と不安が入り混じって、心の中で葛藤しているんだろうな。
いざとなったら、実の兄を手にかけなければならないって。
大丈夫よ、門川君。
その役目は、あたしが果たすからね・・・。
「どうやら、ようやく着いたようじゃぞ」
ずっっと歩き続けた先に、ついに行き止まりが見えた。
上から縄ハシゴが下がっている。
着いた。ついに着いた。
着いてしまった。
縄ハシゴを見た途端、心臓があわただしく鳴り始めた。
この先に、どんな出来事が待っているんだろう。
あたし達は何を得て何を失うんだろう。


