「岩さん、お父上の具合は?」

「元気ですわ。でもとにかく寝る間もないほど忙しくて。私が権田原の代表です」

「そうか・・・」


門川君の表情は暗い。

やっぱりどうしても責任を感じてしまうんだろう。


「永久様、わたくし自慢の紅茶ですわ。さあどうぞ」


ことさらに明るい声で、お岩さんがお茶を勧めてくれた。


優美なラインのティーカップに、鮮やかな液体が注がれる。


カップの淡いブルーに映えて、とても美しい。


ソーサーの形もオシャレで、かつ機能的。


慣れた手つきで、セバスチャンさんが優雅に紅茶を淹れてくれた。


みんなが正座して囲んでる、うるしの剥げたちゃぶ台の上で・・・。


しかも、あたしの目の前にはお岩さんが

「はい、番茶」

って、ドンッと置いた茶色の湯飲み茶碗。


・・・いいんだけどさ、別に。

こっちの方が、ちゃぶ台にピッタリだし。