神様修行はじめます! 其の二

「ジュエル様は、あれで案外お優しい方なのです」


整った表情が、ふわっと笑顔になった。


「ただ、ヘソ曲がりなのです。非常に」

「ヘソ曲がり?」

「そのうえ、変わった性格ですので」

「ああ、それは分かります」


ものすごく、分かる。


「変わった性質のお方の攻撃を、いちいち受け止めていては身が持ちません」

「じゃあ、どうするんですか?」

「受け流します。天災と一緒ですね」



一種の、諦めのようなものですよ。


あぁ、今回の台風は大きいな、とか。


次は川が氾濫しないように堤防を高くしよう、とか。


屋根が飛ばないように補強しておこう、とか。


次のステップへの教訓に生かします。


来てしまったものは、仕方ありませんから。


仕方ない事を嘆くより、前向きに考えます。


そうでも考えないと、やっていられませんので。


まぁ、それもこれも・・・


ジュエル様の、本来の優しい性質を熟知していればこそ、なのですが。


だいたいは、あのお方のお心の内は理解できますよ。


「たいがい、嫌になるほど付き合いは長いですから」


笑いながら、セバスチャンさんがそう言った。