「ジュエル様、到着いたしました」

「永久様を客間に運んで。セバスチャン」


あっという間にお屋敷に着いたらしい。

本当に速い。この牛。

高速道路を突っ走るトラック並み。


皆でぞろぞろと牛車から降りた。

そして見上げたお屋敷は・・・


まさに『豪農』だった。



雰囲気は、他の民家とあまり変わらない。


昔話に出てくるお金持ちの庄屋さん、みたいな。


けど、規模が違う。

・・・デカい。家が。庭が。


正面から見た横幅の広さが、ハンパない。


総合運動公園みたいな、公共施設なみの広さだ。


ここら辺は、やっぱり由緒ある一族なんだなぁ・・・。


そして前庭を牛がノッソリ歩いてて。

その足元を、元気にニワトリが走り回ってる。


ここら辺は、やっぱり権田原一族だなぁ・・・。



門川君を抱えた執事さんが、あたし達を屋敷の中に案内してくれた。


ほとんど仕切りのない、開け放たれた空間。


ぶっとい大黒柱が、何本も艶光りして堂々と建ってる。


上を見ると、これまたぶっとい柱が横に交差してるのが丸見え。


梁って言うんだっけ? これって。