「あそこで演技の練習してる…、髪がちょっと茶色い子いるでしょ?」
「はぁ」
心愛の第一印象…
それは、見た目も中身も甘そうなやつだな。
フワフワしてて、綿あめみたいなやつだなって思った。
でも…
「あの子と俺どこが似てるんすか?」
共通点がひとつも思いあたらなかった。
「あの子の両親も……
今年立て続けになくなったのよ」
「えっ?」
「父親のほうは交通事故。
母親のほうは……
あなたのお母さんと似たようなかんじかしら」
「似たような…」
「旦那さんが亡くなって精神的に不安定になってる時に……
たまたま心愛の掲示板を見てしまったみたいなの」
「掲示板…」
「心愛の悪口を書いてる掲示板よ…
芸能人で世の中の人全員から好かれてる人なんていないからね」
「………」
「旦那さんの死と娘の悪口……
ショックで多分周りが見えなかったみたい…
車に引かれて…」
突然叔母が口をつむぐ。
どうしたんだと思ってると
「社長…」
可愛らしい声が聞こえて振り返ると、そこには心愛が立っていた。

