"好きなやついんの?"
顔を覗き込まれ、近距離でこんなこと聞かれ私の顔は一気に熱を帯びる
「いんだ(笑)」
「い…いないですよ」
「真っ赤になりながら言われてもな〜(笑)」
ククッっと笑いながらハンドルを握る橘さん。
「でも……」
急に橘さんの声が真剣になる。
「今は我慢な」
「…!!」
「今は心愛もわかると思うけど頑張りどきだ」
「………」
「そんな時にスキャンダルなんてとんでもないからな」
「……わかってますよ!!ってか好きな人いません!!」
私は橘さんを叩きながら軽くショックを受けていた。
この仕事を続ける以上
恋なんて言ってらんない。
だけど……
好きな人から直接言われるのは
想像以上に辛かった。

