「由梨ちゃんが橘さんのことかっこいいって言ってましたよ〜」
「はぁ?」
パスポートを申請した帰り道。
橘さんの車で帰宅中。
「由梨ちゃん完全にメロメロでしたよ」
あれからずーっと由梨ちゃんに質問攻めされた私はいろんな意味でお疲れ気味。
確かに橘さんはマネージャーとは思えないぐらい顔が整ってる。
高い鼻に程よく焼けた肌。
黒縁メガネもよく似合ってるし、スタイルだっていい。
「橘さんモテます?」
「さぁね?」
「じゃあ、彼女とかいるんですか?」
後部座席から前に乗り出し少し不安げに聞く。
「………いるわけねーだろ、誰かさんのお守りで手一杯だよ」
信号が赤になった瞬間、前に乗り出してた私にデコピンをする。
「いたっ…!!」
「変な質問したからだろ?」
「全然変な質問じゃないじゃないですか!!」
「じゃあ心愛は?」
「えっ?」
「好きなやついんの?」

