「じゃあ、この勢いで本番いくよ!!!」







元の位置にスタンバイする。


「最後…バシッと決めようぜ」


「ですね」


涼太くんの目を見て
もっかい気持ちを入れ直す。










「本番いきまーす、3・2……」







涼太くん演じる潤矢の唇が私演じる亜季の唇と重なる。



何度も角度を変え、でも息をさせてくれないほど激しく……。



唇をほんの…
ほんの少しだけ開くと涼太くんは舌を私の歯に当たる程度入れてくる。





『んっ……///』







最後は……
頭の中は涼太くんではなく、亜季と一緒で潤矢でいっぱいだった。




















「カット!!」


監督の声とともに拍手が巻き起こる。








スタッフさんから花束を渡されると、いつのまにか涙が出ていた。