「悪かった」
「へ?」
「昨日……お前頑張ってんのに酷いこと言って」
「そ、そんな!!橘さんは悪くないですよ!!本当のこと言っただけなんですから」
「いや……初めてキスするんだったら誰だって緊張するのに、俺めちゃくちゃ言っただろ?」
「……でも、女優さんなら当然のことです!!!」
そう言った心愛の目は真剣そのもので、やっぱりプロだなと思った。
「橘さん!!」
「うん?」
「私…頑張りますから見ててくださいね」
「おう」
それだけ言うと、車を出した。
バックミラー越しに見えた心愛は早速台本確認をしてて……
自分が昨日言った言葉を悔やんだ。