そう声が聞こえたかと思うと、腕をひっぱられステージ裏にまで連れてこられた。
「……た…ちばな…さん…」
「なんで否定しないんだよ……」
目の前には
呆れたような…
でもいつもみたいな少し意地悪い瞳を浮かべている大好きな人。
「…嘘はつきたくありませんでしたので」
「バーカ」
思いっきり腕をひかれ、体が密着する。
あったかくて…
ドキドキしすぎて
死んじゃうんじゃないかって思う。
でも橘さんの胸から聞こえる音も私と同じようにドキドキいってて…。
「俺が悪いんだけどな…こんなことになって……」
「否定しないでくださいよ!!
私は橘さんのせいだなんて思ってないし、後悔していません!!」
きっぱり自分の意志を伝える。
そんな私を橘さんは優しく抱きしめてくれて…。
背中に回っていた橘さんの左手が私の顎を掴み、上に向ける。
「あとで…、一緒に社長に謝らなきゃな」
そう言って優しく私の唇と自分の唇を重ね合わせた。
キスなんて…
演技で何回もしたけど……
好きな人とするキスは
こんなに心を満たしてくれるんだね……。
そのまま私たちは甘いキスに溺れていった。