ぐいっ 私の声を遮るように、橘さんに引き寄せられる。 「うっ……っ…」 「泣くなよ……」 頭の上から切なそうな声が聞こえる。 私の肩に手を置きゆっくり離れようとする橘さんにしがみつく。 「心愛……」 「やです……やですよ!! なんで…なんで橘さんまでいなくなろうとするんですかぁっ…」 泣きじゃくりながら必死に繋ぎとめようとする。 だだをこねる子供みたいに。 「俺だって……離したくねぇよ……」 もし…… 私が普通の一般人なら…… この恋は騒がれず静かに実を結んでいたのかな?