「別に普通に寝てるよ」
ミラーを確認してエンジンをかける。
「でも…帰るの私より遅いじゃないですか」
「まぁ、そうだけど俺は帰って風呂入ったら即寝るし」
「うーん……」
まぁ、確かにそうかもだけど。
「……なに、心配してくれてんの?」
少し意地悪な瞳をした橘さんが振り返る。
「し…心配ってゆうか……私ばっかり眠いと思ってたら失礼かなって…」
「ばーか」
そう言った橘さんは私にデコピンする。
「いたっ…」
前もこんなことなかったっけ…
そう思いながらデコピンされたおでこをさする。
「お前は俺がじーっとしてる間も動いてんだから疲れんに決まってんだろ?
俺の心配してくれんのは嬉しいけど大丈夫だよ」