『短編』甲子園より、愛をこめて


「がんばれ、って言ってくれない?」


「え?」


「言ってもらえたら、甲子園でがんばれる気がするから」


「わたし、に?」


「うん」


「え、えっと……が、がんばって」


「ありがとう」


そう言って、彼はにっこり笑った。


その笑顔にわたしは完全に射抜かれてしまって。


彼が去っていったあとも、しばらく呆然と立ち尽くしてしまった。