『短編』甲子園より、愛をこめて





甲子園で夢のような時間を過ごした後。


受験生に戻ったわたしは、いつもどおり図書室通いをしていた。


今日もいつもどおり登校すると、校門に人影が見えた。


そして、その人が誰だかわかったとたん、どきっとした。


彼だった。


誰かと待ち合わせをしているのか、時折きょろきょろと辺りを見渡している。


普通に「おはよう」とあいさつをしよう。


そう思いながら、ふぅ、と大きく息を吐いた。


うつむいたまま校門に近づくと。


「おはよう」


ふいに彼から声をかけられて、心臓が跳ね上がった。