「着替えてくるから、待ってて」

「ああ! 悪いな」



叶太くんの笑顔がキラキラ輝いている。



わたしが何を知っているというわけじゃないのに。

陽菜のこと、何かわかると思って、期待しているんだよね。



真衣の表情が、叶太くんの隣で険しくなる。

誤解だよ。

そう言いたかったけど、もちろん、言えない。



陽菜という彼女がいるのは学校中の知るところだし、わたしが言い訳するようなことでもないのだから。



なのに、



「なんで、志穂が、叶太くんと待ち合わせしてるわけ!?」



更衣室で、真衣が眉間にしわを寄せた険しい表情で聞いてくるものだから、面食らった。



「……は?」



そんなの、わたしの勝手でしょ、とか、思う前に、何を言われたのかと驚いた。



「なんで、叶太くんが、志穂のこと見に来るの!?」



……まさか、

陽菜って人がいながら、

って、言いたいわけじゃないよね?



一瞬、そんなことを思ってみたりもした。

だけど、どう見ても、そんな風には見えない。



そう。



これは、嫉妬。

……でも、嫉妬?



彼女がいる人だよ?



学校1の有名カップルで、

しかも、どちらも、小学生の頃から知ってるのに……。



真衣は、幼稚園も杜蔵だから、もしかしたら、その頃から、知っているはず。



「なにか言いなさいよ!」



妙に強気の態度。



真衣って、こんなキャラだっけ?



叶太くんを好きなのは知っていた。

ってか、感じてた。



でも、そのことを話したことすらないのに。



なんで、こんな強気なの、この子!?



「えっと、……なにかって、

陽菜のことで相談にのって欲しいって、言われただけなんだけど」