それから二日後、ハルの意識が戻ったと連絡をもらって、オレは放課後、病院に飛んで行った。
牧村総合病院は、オレとハルの家から自転車で5分程度の距離。
学校帰りに、家を通り越して、制服のままで病院に向かった。
「ハル!!」
ハルが使うのはいつも特別室だから、いつもの部屋の表札を確認して、オレは飛び込んだ。
意識が戻って良かった!
大事に至らなくて、本当に良かった!!
ハル!!
ハル、本当に良かったな!!
そんな浮かれた気分で、オレはハルの病室に飛び込んだ。
けど、ハルはオレを見ると、
「……イ、ヤ!!」
怯えるように顔をゆがめた。
……え?
オレは最初、その言葉の意味が分からなかった。
まさか、ハルに怯えられるとは思ってもいなかったから、
だから、オレは、
ハルに何かあったのかと思って、慌ててハルの側に駆け寄って。
「ハル!?」
慌ててハルの腕を取ろうとしたら、
「ヤダッ! ヤッ!」
ハルが泣きながら、オレを避けようと、身体をひねった。
「イヤだッ!! 来ないで!!」
……来ないで?
まだ、酸素マスクも取れていなくて、
心電図もついたままで、
もちろん、点滴もしているハル。
ただ、意識が戻って病室がICUから一般病棟になっただけで、
ハルはまだまだ病人で……
オレを避けようと、全身で激しく動いて、叫んだハルの心臓は、怪しい動きをして、心電図計からの警告音が鳴り響いた。
「ハ、ハル!! 暴れないで!」
息も荒く、肩が激しく上下して、
「ヤ……ダ、イ、ヤ!」
泣き叫ぶ、ハルの呼吸はひどく苦しそうで、
「どうかしましたか!?」
看護師さんが、部屋に駆け込んできて、
それから、オレは、部屋を出された。