蓬丸は闇の中で清明を見つけ、「清明様!」と声を上げた。 「遠子!」 ずっとそわそわしていた男は、娘の姿を見るや落ち着きを取り戻した。 遠子は相も変わらず、動じた様子は無い。 ―さきほどまで接近していた呪力が、ぷっつりと消えている。 安堵する傍ら、あの妖気に対して恐怖心すら抱く。 「妖気が、近づいていたのね」 ぼそり、と遠子が言った。