「――わかりました。

では私もお供します。いつもだったら、共に行くことはありませぬが」


 ぼそぼそといじけて毒を吐きつつ、蓬の葉に戻った蓬丸を優しく手に取り、懐に入れた。


「大丈夫、すぐに戻るさ」


 一年前は、たしかそう言って出て行ったにもかかわらず、

検非遺使に捕らえられてしまったような気がするが、あまり思い出さないようにした。

 陰険な貴族どものはびこる都は、たちまちにして、蜜柑色の夕暮れと共に妖かしの跋扈する都へと成り変わるのであった。