その声は、昼間聞いた新見の声に間違いなかった。 あたしの見間違い? ごしごしと、目をこする。 いや、でも…… 屋根からすぐ下の河川敷に飛び降りる足が、小刻みに震えていた。 「うそぉ……っ」 信じられない。 これは、夢? 芹沢と新見が、もののけだなんて! 陰から見上げたお茶屋は、静けさを保っている。 追って来る気はないようだ。