幕末オオカミ



「聞いただろう、町人の声を。
芹沢のせいで、新撰組の評判はどんどん悪くなるばかりだ。
ただでさえ、田舎者の集まりと蔑まれているのに」


沖田は眉間にシワを寄せていた。


よほど、芹沢が嫌いなんだろう。


「だから……って、おい、聞いてるか?」


聞いてまふよ……


はれ、沖田の顔が、ゆがむ……


あしもとが、ぐらりと揺れた気がした。


しかし、実際に揺れたのは、あたしの体だった。


視界の天地が逆転する。


「おいっ!」


地面に倒れ込む直前、沖田の腕があたしに伸びた。


あぁ……


息が苦しい……