幕末オオカミ



「ちょっと……待ってよ。
あのタヌキとキツネ、局長と副長なんだよね?
なんであの人たちがいる八木邸が、【一番身近な敵地】なわけ?」


「それは、これから説明する」


聞いてみるけど、まだ息が苦しくて、頭がぼんやりする……


どうしちゃったの、あたし……


「新撰組は、大きく二派に分かれている。
近藤先生率いる試衛館派と、芹沢率いる水戸派だ」


沖田はあたしにかまわず、話を続ける。


「今日紹介した幹部は、山崎さん以外は全員、江戸の試衛館で修業をした仲間だ。

試衛館というのは、近藤先生がここにくる前、天然理心流4代目宗家として切り盛りしていた道場で……
って、ついてきてるか?」


「はぁ、一応……」


もー、早く長い説明終わらせて……自分で聞いておいて、ごめんだけど。


水を、飲ませて……


ああ、どうしていつまでも息が整わないんだろう。