幕末オオカミ



ドクン、ドクンと鳴る、それは……
木の根が、水を吸い上げる音に似ていた。


自分の心臓が、その音を発していることに気づいたのは、目の前にあるものが、沖田の胸だと気づいたのと同時で……



そう。


あたしは、沖田に、木の幹に押しつけられていた。


もちろん、身を隠すためだけど……


沖田の厚い胸板に押され、頬が形を変える。


あたしのさらしでつぶした胸が、沖田の腹筋に、さらに押しつぶされる。


「我慢しろ」


と、低い声がしたのは、息がかかる耳元。


ヒヤアアアァァアアァア!!


と叫びたいのを必死に堪える。


早く、早く解放して……!


心臓が、もたないよぅ……!